撮影:石川奈都子

2019.05.28

わたしと漢方

季節をリアルに感じ、嘘のない季節の花を提供する

西山美華 京都・紫竹の花屋「みたて」

京都・紫竹で“季節を楽しむこと”を大切にした花屋「みたて」をご夫婦で営む西山美華さん。一般のお客さまはもちろん、京都の有名料亭や骨董屋といった目利きのご主人たちからも支持を集めています。ご自宅のある集合住宅にはたくさんの植物が植えられた広大な庭があり、忙しい合間を縫って西山さんが手入れをされています。「子育ても仕事も楽しみながらやるように心がけています」と語る西山さんに今回、お話をうかがいました。

季節を贈る手段としてのお花

5月に新しくリニューアルオープンした店は、いままでとスタイルを変え、季節の植物をしつらえ、落ち着いて味わえる空間にしました。今まではお客さまが店にある植物を見て決められていたのですが、お話をうかがいながらこちらが見立てて差し上げるように、接客や販売方法も見直しました。こういうものがいいですよ、と奥から出してきて。それから花屋というのは、花を売るというより、季節を売る仕事だと思っています。季節を贈る手段として花を選んでいます。

京都に自宅や店を構えていると、季節を身近に感じられることができます。植物を見て、ああ春だなとか、夏だなとか。「みたて」の植物は山にあるものしか取り扱っていないので、例えば冬であれば葉が落ちてしまった静かな枝の美しさをそのまま提案したり。でも、それこそが嘘のない季節の花ですよね。山から届くそのままの景色をお客さまにも感じていただけたらうれしいです。

オンとオフのない生活で体調を崩す

「みたて」を始めて6年になりますが、その頃はお店の2階に住んでいましたので、オンとオフの切り替えが全くない生活でした。ちょうどお店のオープンと同時に子どもも生まれて、楽しんでやってはいたのですがやっぱり体調を崩しましたね。全てが初めてのことだったので。体調を崩した時に半年くらい咳が止まらなくて。死ぬかもしれないと思ったくらい(笑)。漢方薬を扱っている病院で漢方薬を処方してもらいました。麦門冬湯だったかな? 普通のお薬は欲しくないので、6才の息子も漢方薬を扱っている病院に連れて行っています。主人のお父さんもよく「風邪を引いたら葛根湯を飲みなさい」と言っていましたね。

毎日の体調管理と食事を大切にする

最近は毎朝6時に起きて、まず体温を測り白湯にハーブを入れて飲んでいます。そして、朝日を浴びながら30分くらいストレッチをしています。植物に囲まれたこの場所で体を動かすとすごく気持ちがいいです。それから、食事も変わりましたね。最近は砂糖を摂らないように心がけています。油もあまり使わないようにして、揚げ物とか炒め物はやめて茹でたものや蒸す料理をメインにしています。調味料はハーブや米飴、アガベシロップとかちょっと厳選して使っています。今は、体がだいぶ軽くなったと実感しています。

子育てを楽しむ

子育ては、楽しいとたいへんが交互にやってくるような感じですね(笑)。結婚して母になると、ひとりの時と比べてできないことが多くなります。これもやりたいのにできないってことが多すぎて落ち込んだことがありましたけど、でも今は逆に、自分は母になったからできることがあるんだ、そういうふうに考えられるようになってきました。子育ても仕事も手抜きせず詰めてやるタイプなんですが、なんでも楽しみながらやるように心がけています。

西山美華/にしやまみか

10年間花屋に勤めたのち、2013年4月に京都市北区に夫と共に花屋「みたて」をオープン。2019年5月に同じ場所でリニューアルオープンし、現在に至る。雑誌『&Premium』にて、「花屋〈みたて〉に習う、植物と歳時記 折々に見立てる京の暮らし」を連載中。店のオープンと同じ時期に出産し、一児の母でもある。

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