撮影:兼下昌典

2019.03.25

わたしと漢方

良いアイデアが浮かぶように、そして良い絵が描けるように、しっかり体を休めることを心掛けています。

服部あさ美 イラストレーター

イラストレーターとして活躍する服部あさ美さんは、水彩や鉛筆を使った繊細なタッチで主に植物を描くことで知られています。2015年には、ハーブの基本をわかりやすくまとめた『ハーブカタログ(発行:ミルブックス)』を発行し話題になりました。締め切りに追われる忙しい毎日を送りながらも、「自分の体調は食べものや漢方で整えます」と語る服部さん。今回は、お花をテーマにした次作を制作中の服部さんにお話をうかがいました。

がむしゃらに働いた20代

25才でイラストレーターとして自立して以来、とても忙しい毎日を送っていました。20代は野心の塊で、土日も夜中も関係なくがむしゃらに仕事をして、自分の生活を顧みることもありませんでしたね。忙しい自分に満足していたのも事実ですし、その頃は仕事の快楽に包まれていたんです(笑)。ただ一方で、仕事への意気込みや不安でストレスも多く、30代になった頃に限界を感じまして、自分をリセットするために3ヶ月間イタリアに行きました。イタリア人は休み方が上手で、しかも生活をとても楽しんでいて、すっかり影響を受けました。

自分の日々の体調に合わせる

それからは、日々の体調をみながら、自分に合ったペースで仕事をするようになりました。半日だけ働いたり、短時間で集中して仕上げるようにしたり。オフの日は、公園に行ったり旅行を楽しんだりもしています。出歩くことでいろいろなことが吸収できますし、その方が仕事の生産性もあがりますよね。

植物に興味を持ったきっかけ

植物を描くことが多いですが、学生の頃から植物図鑑が大好きでした。若い頃に仕事で植物を描く機会があったんですがそれが意外と難しく、描きごたえがありましたね。どこにでも生えている植物なんですけど、実際に描いてみたらイメージと違って。それからぐっと植物に惹き付けられましたね。4年前には『ハーブカタログ』というハーブの入門書のような本を作りました。今は『フレグラント フラワーカタログ』というタイトルの第二弾を制作中で、ハーブのように人に役立つお花を専門家の方に厳選していただき、私はそれに合わせて絵を描いています。

漢方で日常的に体調を管理する

風邪かなと思ったら葛根湯を飲むようにしています。漢方薬を意識したのは20代の頃ですが、食べ物には陰陽があると知り、自分の体調を食べものや漢方薬で整えることを覚えましたね。漢方薬は、年齢を重ねるごとに如実に効果を実感できますね。毎朝、白湯も飲んでいます。心身のバランスが悪くなりそうだなと感じた時には、生姜湯を飲んでみたりもします。昔から冷え性ですし、体を温めることは常に考えていますね。母が先日、みかんの皮を乾燥させて粉末にしたものを送ってくれたんですが、調べてみると漢方薬でもウンシュウミカンの果皮を乾燥させたものを陳皮という生薬として使われるんですよね。香りもよくて、私は紅茶に入れたりして気軽に楽しんでいます。

服部あさ美/はっとりあさみ

神奈川県生まれ。ROCKET(cap+RCKT)のギャラリースタッフを経て、1998年からイラストレーターとして活動を始める。書籍、雑誌、広告、雑貨、CDを中心に国内外で数多くのイラストレーションを手掛けている。水彩や鉛筆を用いた、緻密で繊細かつ優しい表現に定評がある。

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