STORIES "KAMPO with Me"

わたしと漢方

安藤桃子 映画監督

「今の体調を受け入れる」
漢方は、自分の本音と対話するきっかけ。(前編)

撮影:アキタカオリ 2018.03.16

映画『0.5ミリ』の撮影をきっかけに高知県に移住し、結婚・出産を経た今、まさに「漢方ライフ」を楽しまれているという映画監督の安藤桃子さん。自分の気持ちに正直に暮らす生き方には、健康へのヒントが詰まっています。漢方との出合いから心境の変化、ご自身の生活にどのように取り入れているか、までを伺いました。前・後編の2回に分けてご紹介します。

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 漢方ってなんだろう? って考えたときに、自然由来とかいろいろな良さはあると思うんですが、自分にすごく優しいものだなって、そして、自分に優しくしていくことはとても大切だなって気付いたんです。
 今は女性もバリバリ働く時代ですし、母もやり、妻もやり、という中で、健康管理が生活の基本になってくるということを沢山の方が感じていると思うんです。でも、都会で忙しく暮らしていたら、自分の体調の変化に気付けないということも多くて。その結果、倒れてから病院に行って、薬を飲んで治すしかないという悪循環が繰り返されると、心が折れてきますよね。限界点に達してしまうというか。本当は、生き生きと元気に仕事も子育てもしたいのに、ちょっと頭が痛いだけで一日を楽しく過ごせないですし。
 実は私、すごく新薬のお世話になっていたんです。偏頭痛持ちで、すぐ胃も痛くなるし、アレルギーもあって。小学生くらいから結構センシティブで、修学旅行が近づいただけで緊張して体調を崩して……っていうこともあったんです。その中でも一番悩んだのは偏頭痛。普通の頭痛薬じゃ全然効かないから薬を処方してもらって飲むんですけど、最終的に吐いてしまうくらいひどい日もあって。そうなると、日常が恐怖にのまれはじめて、薬を持っていないと家からも出られないほど、不安でいっぱいになっている時期がありました。話をしてみるとそういう不安を持たれている方が周りにもすごく多くて、女性はやっぱり月経の周期とかもありますし、子どもの頃から自分の体の変化というのを感じて生きている人が多いと思うんです。
 新薬も使い方だと思うんですが、今はもう4年以上全くお世話にならずに、ひどくなる前にちゃんと自分で受け入れて、乗り越えられる体になってきました。その4年前というタイミングが、漢方や自然療法に出会った時です。

ターニングポイントは、高知県の名物薬局での衝撃の出会い。

 考え方が完全に変わった瞬間というのがあって、それが高知県に移住してからのことなんです。当時花粉症がひどくて、「すみません、花粉症で……」と、薬局に相談に行ったら、そこの名物薬剤師さんに「花粉のせいにするんじゃない!」って一喝されて、笑。最初は怒られたことにびっくり! でも、そこからの質問が見事。「今、すごい花粉が飛んでいますよね」と言うと、「外側のせいにしない!」と返ってきて。「花粉症にならない人もいるっていうことは、あなたの体の内側になにか花粉に耐えられない弱っている部分があって、そこが反応しているんだから。体の中を見ないと、外だけ見てたら一生治らないよ」って言われて、今思えば、その漢方の考え方がどーん!と胸に突き刺さったんです。

不調を排除するのではなく、向き合っていこうという考え方が
私に合っているのかな。

 極論ですが、「病は気から」っていうことを最近痛感しているんです。以前だったら不安が不調を呼んで、大事な日に頭が痛くなってしまったりしていたんですけど、今は、頭痛になってもその状態が嫌だと思わなくなった……というか、自分の体調を受け入れられるようになってきました。調子が悪いことが嫌で、「薬を飲んで今すぐ治す!」で、その時は良いけれど、そもそも「痛い」とかいろんな信号を出してくれている自分の体に対して失礼だなって。頑張って痛みとして不調を教えてくれているのに、「うるさい!黙れー」とブロックしてしまっても、根本は改善されない。なるべく、痛くなったら感じるようにしています。すると結果、たどり着いたのは自分の心のあり方だったんです。

(後編へつづく)

安藤桃子/あんどうももこ
1982年東京都出身。映画監督。2010年に監督・脚本を手掛けた『カケラ』で映画監督デビュー。自身の介護経験に着想を得て書き下ろした長編小説『0.5ミリ』(幻冬舎)を、2014年に妹の安藤サクラ主演で映画化。2017年に高知市内に映画館「ウィークエンド キネマ M」をオープン。プライベートでは2014年に結婚、高知県に移住。一児の母でもある。

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