STORIES "KAMPO with Me"

わたしと漢方

大宮エリー 作家

連載「大宮エリーの 私、ツムラーになる!!」第4話

撮影:弘瀬 秀樹 2018.10.12

第4話 「血便が出たら?」

実は、いきなりですが、血便がでたことがあるんです。ものすごくびっくりしました。すごく突然だったから。ある日、トイレにいって、大きい方でして、そのあと、ふと振り返ったら、便に血が混じっている。「!」驚きました。最初は痔かな、と思ってまじまじと、そのブツとそのまわりの血を見たんです。まるで研究者みたいに。真っ赤な鮮血が混じっている。痔だと、便とは混じらないから、これは、やはり、腸からの出血だとわかったんですね。でもそのあとすぐにテレビの生放送だったから、本番中も気が気じゃなかった。
ガン、かもしれない、って思いました。その晩、必死でパソコンで調べ、鮮血の場合は、ガンではなく腸炎であることが多いとあり、きっとそれだと言い聞かせてその晩眠りました。
翌朝、一番にお医者さんへ。するとすぐに内視鏡をすると言われて、訳も分からず下剤を飲み、腸をきれいにしてから、カメラを肛門から入れるわけです。最初は無謀にも早く帰りたいからと、麻酔なしでやって、激痛で悶絶。叫びすぎて、うるさいと、お医者さんに麻酔をうたれてからは、なんて楽なんだ!全然痛くなくそして、自分の腸の中も冷静に、人ごとのようにみることができました。
「ほら、ここ、出血してる」
「ほんとだ!」
自分の腫れた腸壁を見た時、こんなにいじめちゃって申し訳ないと思いました。体を痛めつけてたんだなあと。自分が無理すれば無理するほど体に負担をかけていた。自分というよりも、神様から、親からいただいた体を粗末に扱って罰当たりだと反省したものです。
「これ、2ヶ月飲んでね」
と大量のお薬をもらいました。が、飲み始めてすぐに蕁麻疹。
先生に言うと、「あれ、強すぎたのかな。うーん、合わないのかもね」
「でも、かなり腫れてるから、強めにたたいておかないとと思ったんだ」
良性のポリープもあったりで、予断をゆるさない感じではありました。
でも、合わないのでは仕方ない。
先生は、違う薬にしてくれました。それが
「漢方薬でやってみよう」
ツムラだったんですね。
「あ!ツムラだ!」
私の病気は、潰瘍性大腸炎という難病ですが、ツムラを出されてなんだか
ほっこりした気持ちになりました。
よく飲んでるし。続けられるなあと。
空腹時というのを守って飲むこと1ヶ月。なんか、
腸の痛みもなくなり、違和感もなくなって、
胃腸の疲れがあるときに、黄連解毒湯を飲んだり、
大病の後のツムラを、小さな不調に役立てているのでした。
これ、日々、ツムラーなり。

大宮エリー/おおみやえりー
1975年大阪府出身。東京大学薬学部卒業。作家、演出家、画家など多くの肩書きを持ち、著書には『生きるコント』『思いを伝えるということ』(文春文庫)他多数。2016年、美術館で初の個展『シンシアリー・ユアーズ』(十和田市現代美術館)を開催。現在、『道後オンセナート2018』(2019年2月28日まで)、『六甲ミーツ・アート芸術散歩2018』(2018年11月25日まで)に参加している。

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