漢方とは(漢方概論)

西洋医学と漢方医学の違い

西洋医学自然科学を基盤に進化してきたのに対し、漢方医学は古代中国の哲学思想と集積された臨床経験を基盤に発達してきたため、両者は様々な点で異なります。
まず第一に挙げられるのは、両者の基盤に由来する違いです。西洋医学が科学的、理論的であるのに対し、漢方医学は哲学的、経験的な性格を帯びています。また、西洋医学では、分析的な手法、見方により、最終的に病巣を局所化していくのに対し、漢方医学は、心身一如(しんしんいちじょ)、つまり心と身体を1つの小宇宙として総合的に捉え、身体の全体的なバランスを図っていきます。漢方医学には、各個人の病態を、心身両面から総合的に捉え、治療する全人的医療の考え方が内包されているわけで、それゆえに「個の医学」と呼ばれることもあります。
薬については、西洋医学では基本的に、単一成分で、精製された合成品が、漢方医学では、複合成分で、複数の生薬を組み合わせた天然品が用いられます。複合成分であるため、作用機序を解明しづらいものの、作用はマイルドで副作用も少ないという特徴があります。

エッセンシャル漢方1 P.3より

「証」とは

「証」とは、分かりやすくいうと、「その人の状態(体質・体力・抵抗力・症状の現れ方などの個人差)をあらわすもの」です。症状や、体格などの要素から判別し、漢方ではその「証」に合った漢方薬が使われます。
したがって、同じ症状でも、自分の「証」と他の人の「証」が違えば、使われる漢方薬も違ってきます。自分が服用している漢方薬を同じ症状だからといって、他の人が飲んでも効果が期待できない可能性があるのは、こういった理由からなのです。

「証」の分け方「虚」と「実」

「証」の分け方のひとつに「虚・実(きょ・じつ)」があります。
体力や抵抗力が充実している人を「実証(じっしょう)」、体力がなく、弱々しい感じの人を「虚証(きょしょう)」と言います。

「気・血・水」とは

一方、「気・血・水」は、不調の原因を探るためのものさしです。
漢方では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素が体内をうまく巡ることによって、健康が維持されていて、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気、障害が起きてくると考えられています。
そのため、「気・血・水」のどこに問題があるのかによって飲む漢方薬を選択していきます。

気・血・水の乱れと不調の関係

ツムラホームページ 私に合う漢方の見つけ方より

五臓とは

五臓は、生体の生命・精神活動の中心をなす機能単位で、肝・心・脾・肺・腎を指します。
漢方医学では、肝・心・脾・肺・腎それぞれが、図に示す機能を持つと考えられています。このなかには、例えば腎が呼吸能と関連づけられているように、現代医学で受け入れがたいものが少なくありません。漢方医学の観点から見ると、五臓は、解剖学上の同名臓器とは一致せず、あくまでも実体のない機能単位です。こうした混乱が生じた原因は、江戸時代、オランダ医学の臓器の名称を日本語に訳す際に、漢方で使われていた五臓の名称が流用されたことにあります。

エッセンシャル漢方2 P.5より